2013/05/26

"だんまり"




ファンは心待ちにしていた、
十八代目勘三郎丈の二人目のお孫さんが先日誕生しました♡

素晴らしくハッピーなニュースです。


お名前は、勘三郎さんの本名から「哲(のり)」
という字を頂いたという「哲之」くんだそうです。


会えずとも引き継いでいくものに、また涙腺が。







さて、勘三郎さんの演じてこられた中で私が一番好きなものが、
「法界坊」という演目です。

ニューヨーク公演も行っているこの演目は、
平成中村座が発起した前代未聞の舞台設定によって、
クライマックスがこの世のものとは思えない絶世が繰り広げられる事になるのですが、

中盤の細やかな所も素晴らしいんです。










過去の公演をyoutubeで発見♡なんとありがたい。

このシーンは夜の暗闇での立ち回りシーン。

暗闇という設定は、歌舞伎用語で「だんまり」と言い、
暗くて見えない事から、無言でゆったりとした手探りの動き、
下座音楽のもと織り成されるその様に美があります。


灯りを消して、「暗闇」になり急転する照明と、
鳴り出す下座音楽。役者達の動き。


そのだんまりにこの法界坊は、 "早すぎる演出"を随所に織り交ぜています。


まず、常に影に徹する仕事の「黒子」
この黒子の仕事を逆手に取った演出により、
"黒子がスポットを浴びる伝統舞台"に。(しまいには「見栄(みえ)」まで切る黒子。)



そして、ずっとこの悪役をやり続けている笹野さんの、
このシーンは本当に"当たり役"だと勝手に思っていますが、
超グロテスクな顔面真っ二つシーン。(なんて斬新)




ここまでエンターテイメントにする事がとても現代。
しかも歌舞伎で、です。


ご観覧のお上品なご婦人、殿方が、
真っ二つになった顔が踊る様で大爆笑です。

エンターテイナーは、歌舞伎に伝わってきた残酷な演目も、
美をより一層強くする事も出来れば、こうした笑いにも出来てしまう。



ここでも笑いをとる勘三郎丈が、後半になって一気に観客を突き放していきます。

笑えて、とってもチャーミングだからその差が猛烈で、
とてつもなく素晴らしく、おっかなくて、圧巻で、強烈な生き様なんですよ。

この振り幅は、やっぱり勘三郎さんが脅威的です。

残念ながらこの映像は10年前のものでクライマックスの演出が違い、
私の目に焼き付いたそのシーンはyoutubeにはありませんでした。ショック。


けれど映像より実物がもちろん良くって、でももう観る事が出来ないから、
ずっと悔しがっていたいと思います。


そんな思いを持ちながら迎えた、
お孫さんの誕生のニュースは、
だから素晴らしくハッピーです。